フー太郎の森基金が平成22年度外務大臣表彰に選ばれた。春に在エチオピア日本大使館から表彰の「推薦」をいただいたものの、なかなかお返事がなかったので、「駄目だったのかな
」と思い始めていた。そうして6月28日スタディツアーの参加者をお連れしてラリベラに着いたその日、受賞のニュースが日本事務所から届いたのだ。ツアーの参加者はみんな古くからフー太郎を応援してくださる方々ばかりだったので、みんな誇らしい気分だった。その夜のエチオピア事務所の歓迎会は、急遽、表彰を祝う会になり、スタッフみんなで喜び合い、またその労をねぎらった。
7月14日、外務省の飯倉公館で催された表彰式には、私と深川副理事長が出席した。受賞者には、韓国問題に詳しい小此木政夫氏や平田オリザ氏などの姿もあった。
9月でフー太郎は創設13年になる。「エチオピアの乾いた大地に、1本から木を植えていきましょう」と、福島県の相馬市でささやかにスタートした。たった一人のスタートだった。植林の知識もなく、海外援助や市民活動の経験もなかった。おまけにお金もなかった。本当に1本でもいいから木を植えたいと思っただけだった。こんなささやかな思いが、40万本の植林や、8つの溜池、あるいは3つの学校などへと結晶していったのは、フー太郎に関わってくださった一人ひとりのみなさんのおかげだ。みんなで手さぐりでここまで歩んできたのだ。
10数メートルのユーカリの林になったラリベラ小学校の西斜面。ここは1代目の駐在員以来、子供たちと一緒に木を植え続けていたところだ。混植すれば大丈夫だろと、私たちはさまざまな樹種の中にユーカリも混ぜて植えていた。ところがこの強靭な木は他の木をすっかり駆逐し、この10年でユーカリの林を作っていた。確かに緑にはなったが、この急斜面の土壌がやがて侵食されていくことは目に見えている。しかし学校がなかなかユーカリを切らせてくれなかった。
ところが先日ラリベラ小学校を訪れると、ユーカリの林が無くなっていた。3年前にもツアーに参加した丹治さん、松岡さんはあまりにも寂しくなった斜面に唖然としていた。そして参加者の皆さんでここに木を植え直した。大丈夫、きっと数年後にはここに在来種の林ができているはずだ。誤りを正していくのには勇気がいる。試行錯誤は私たちの「十八番」でいい。