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ラリベラの水資源問題とフー太郎が造る溜池

ラリベラの水資源問題

現在、ラリベラの水不足は、次のことが要因と考えられています。

  1. 人口の増加(2005年は約14,000人)による水の使用量の増加
  2. 旅行者(年間約50,000人)の増加による水の使用量の増加
  3. 森林破壊による地下水、川の水の枯渇。

では、水不足は人々にどのような影響をもたらしているのでしょうか?

  • 一人当たりの必要だとされている水量41.9リットルに対し、32リットルしか給水できない。ちなみに日本における一人当たりの必要水量は313リットル(国土交通省水資源部調べ)
  • 病院の清掃や、調理が充分にできない。
  • 建設事業の遅延
  • 一般家庭のみならず、宿泊施設においてもトイレやシャワーが利用できない。

エチオピアの雨季は、3〜4月の約1ヵ月の小雨季と、6〜9月の約2ヵ月半の大雨季の、年4ヵ月ほど。この地域は雨季には800ミリほどの雨が降ります。そこで、前述の問題を解決するために、溜池を造成する案が持ち上がりました。雨水を貯め、生活用水や農業用水に利用し、また溜池周辺に森・グリーンベルトを造ることで、水資源の涵養を計ろうという、溜池造成プロジェクトの構想がスタートしたのです。

年間の平均気温と降雨量
 最高気温(℃))最低気温(℃))降雨量(ml)
1月2630
2月2750
3月27750〜100
4月28750〜100
5月2870
6月218100〜200
7月258200〜300
8月248300〜400
9月247100〜200
10月2650
11月2530
12月2530

※表内のデータは首都アジスアベバのもの。

ラリベラの降雨量
 1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月
降雨量(ml)41653544332197208421292

(1969〜1993年のうち、データのある13年間の平均値)

フー太郎の森基金が造る溜池とは

地球に、環境にやさしい江戸時代の溜池

私たちがラリベラで造っている溜池は、日本各地で江戸時代に造られ今も現役で使用されている溜池の工法を手本にしています。それは、近代工法のダム・溜池では欠かせないセメントや防水シートを使用せず、現場の土や石を押し固めて作るというもの。これによって、地面にも水が滲み込んでゆき溜池周辺の土壌を豊かにするのです。近い将来、木々やそのほかの植物が茂ってゆくことでしょう。また新たな地下水脈ができることも期待されます。溜池の水は、そこに住む人間だけのものではありません。私たちが目指すのは、人々の生活だけでなくそれを取り巻く自然環境、生態系を豊かにする溜池なのです。

住民の手で、地元にある材料で

「地元の材料を使った溜池づくり」を私たちは推進しています。将来、故障などのトラブルがあった場合でも、自分たちで修繕できなければなりません。そこで溜池の工事にはラリベラの住民が大勢参加。現金収入を得ることが難しいこの土地で、雇用を生み出すことに貢献できるばかりでなく、地元住民が参加することにより、彼らに溜池の建設、利用、維持管理について関心を持ってもらい、積極的に学んで欲しいという意図があります。そして、溜池造成や後に続く植林が、水資源の涵養につながることを理解してもらう、そのことがなにより必要なのです。

このプロジェクトの目的は、単に溜池を造ることだけではありません。完成した溜池を住民たちがどのように管理・維持していくのかということも大切な課題なのです。同様の目的で水利組合の運営に関しても、細かな指導を行っています。

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