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生活改善プロジェクト
ラリベラに住む人々の暮らしの向上のために
多くの途上国がそうであるように、エチオピアも衛生問題、教育問題などあらゆる面で社会基盤の整備が立ち遅れています。フー太郎の森基金(FFF)はエチオピアのラリベラで活動を開始して以来、植林活動のほか、たき木に替わるエネルギーの普及や提案など、人々の暮らしの向上を目的とした活動も試行錯誤しながら地道に続けています。
ゴミ問題(分別、回収、再利用)
FFFの活動開始当初、ラリベラは世界遺産の村でありながら、あちこちにゴミがあふれ散乱していました。子供たちが通う学校も同様で、教室の床はまるでゴミ捨て場のような状態。これは行政の対策の遅れはもちろん、人々の衛生観念が乏しいことも要因のひとつとなっていました。
そこでまずは学校からと、各教室に掃除用具を配布。また、村のあちこちにゴミ箱とゴミ穴を設置し、村人に利用するよう指導していきました。
現在取り組んでいるのは村内の地域ごとに選出された衛生管理者が定期的に村を見まわり、ゴミの分別方法や捨て方を指導するという方法。優秀な地域や家庭を表彰するなど、人々のやる気や積極性を高める工夫もしています。
これらの取り組みによって人々の衛生意識やゴミの分別の知識が高まり、村内の衛生状況は飛躍的に改善しています。
学校建設
教育に力を入れているエチオピアでは、すべての子供が無料で学校教育を受けることができます。しかし近年の人口増加(※)に伴い、増え続ける子供たちに学校側が対応しきれない現状がうまれていました。
ラリベラにあるラリベラ小学校とゲテルゲ小学校はそれぞれ3000人もの子供たちが通っていましたが、1教室になんと100人を越えるという飽和状態。教室不足に悩んでいた学校がとった対策は成績順で子供を選抜するというものでした。成績の悪い子は学校に通えなくなってしまったのです。
そんななか悲しい出来事が起こります。2002年、一人の少女が学校に行けないことを苦に、毒を飲み自殺してしまったのです。
こんな悲劇が二度と起きないよう、翌年からFFFは学校の建設に乗り出しました。外務省の「日本NGO支援無償資金協力」に助成金を申請し、その資金で2003年から2004年にかけ、ラリベラ小学校に2棟8教室を増設。ふたたびすべての子供たちが学校に通えるようになりました。
この経験をもとに、2008年からは京都文教大学との共同でカチンマスク小学校(ラリベラ郊外)に新校舎4教室を増設する新たなプロジェクトも始動。この新校舎が完成すれば500名の子供たちが新たに学校に通えるようになります。資材集めや基礎工事に協力してくれる地域住民と連携しながら、現在(2009年4月)工事は着々と進行中です。
さらに、これまで学校のなかったカンカニ(水源涵養林を作るため植林を行っている地域)でも学校新設に向けて調査が始まっています。
貧困の連鎖、環境破壊の連鎖を断ち切るためにも、子供たちへの教育は重要です。FFFは学校建設にも積極的に取り組んでいます。
※2007年のエチオピアの人口は7651万人(推計)で、1980年の3713万人の2倍以上。国連の世界人口推計報告書(2006)によれば人口増加率は2.51%と世界的にも高い水準となっている(ちなみに日本は0.02%)。
バイオガスと省エネ普及
生活に必要な燃料のほとんどをたき木や炭で賄ってきたラリベラ。FFFではたき木の消費量を減らすため、それに替わる燃料の普及や生活提案も行っています。
ラリベラ小学校では、校舎のほかトイレも新たに20座増設。校内の衛生問題を解決するためでしたが、3000人分の屎尿からバイオ燃料、バイオガス(※)をつくり、薪や炭に替わるエネルギーとして活用できるのではないかと考えました。バイオガストイレが成功すればたき木に替わる燃料となり、伐採も減り、衛生問題や屎尿処理問題も解決できるはずです。
そのほかFFFではラリベラの人たちの生活習慣も見直していこうと「かまど」の普及にも努めています。
ラリベラの多くの家庭では石を積んだ上に鍋をのせ、たき木をくべて火を焚き調理をしていますが、熱効率の優れたかまどを作れば、たき木の消費量を3分の1に減らすことができます。かまどの材料は土と石のみ。簡単に作ることができます。煙突を作るのに費用が多少かかりますが、FFFではかまど作りの講習会も行い、煙突を取り付けるための助成も始めました。
- ※バイオガス:
- 生物の排泄物や有機質肥料、汚水、ゴミ、植物などの生物資源が発酵して発生するガスで、メタン・二酸化炭素が主成分。アジアや中国では古くから利用され、欧州の酪農国では80年代から家畜の屎尿処理を目的として普及してきたが、最近では石油や石炭に変わるエネルギー源としての活用が地球温暖化防止対策に有効だとして注目されている。