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学校での環境教育
「環境クラブ」での環境教育と植林育林事業
私たちの緑化事業は教育を重視しています。公共事業的に人とお金をつぎ込んで木を植えたとしても、根本的な問題「なぜ大地に森は必要なのか」「水と木の関係」、つまり、木が無くなると言うこと=水も無くなってしまうということを理解しなければ、せっかく植えた木もまた切られてしまうから。私たちはラリベラとその郊外の3つの小学校(ラリベラ小学校・ゲテルゲ小学校・ナクテラ小学校)で「環境クラブ」をつくり、子供たちと一緒に苗木を育て、植林や育林をしています。実際に木を植え育てる作業を通じて、子供たちに緑の大切さを教育し、理解を深めてもらいたいのです。2000年から始まったこの「環境クラブ」には毎年1000人を越える子供たちが参加し、木を植え育てています。
フー太郎が取り組んでいる植林・育林とは
- 樹種選択
- 私たちFFFはこれまでおよそ35万本、19種類もの木をラリベラに植えてきました。試行錯誤ではありましたが、一年一年と経験を積み重ねるうち、ラリベラに適した樹種があることもわかりました。
- 2008樹種一覧
- 苗木づくり
- 各学校の環境クラブの子供たちは2〜3月、学校にある苗畑に種を蒔きます。6〜8月の大雨季に行われる植樹のための苗。毎日水やりをしながら丹誠込めて育てた苗木は、植樹までの3,4カ月の間に15〜20センチにまで成長します。
- 堆肥による土壌改良
- ラリベラの土地は痩せていて、そのままの土質では木がうまく育ちません。そこで必要なのが土壌の改良です。私たちは化学肥料や農薬を一切使わない自然のもので作られた堆肥による改良を行ってきました。堆肥は各学校の深さ3メートルの堆肥場で作られています。枯れ葉や牛糞、黒土、砂などを丁寧に重ね、切り返し、3カ月間熟成させて作ります。
- マイクロキャッチメント
- 傾斜地が多いラリベラでの植林は土壌の流出を防ぐことが肝心。当初は等高線に沿って石を積み上げテラスを作るという方式をとっていましたが、2004年からマイクロキャッチメント方式を取り入れました。植える木1本ずつに小さな土手を作るマイクロキャッチメント方式。これにより斜面を流れる水がこの土手に溜まり、少ない土と水で木が育つのです。1本1本を大切に育てることで植林した木の活着率(生存率)が従来までの34%から62%(2007年度調査)に格段に上昇。大変な好成果につながりました。
- 森林保護官
- 現在FFFでは現地の人材11名を森林保護官として雇用しています。彼らは430ヘクタールの植林地を、伐採や家畜の侵入による被害から守り、定期的な給水作業をしています。自然保護の意識を村の人々に根付かせるひとつの手段になればと考えています。
- 生存率調査
- 毎年12月に全植林地において、昨年植樹した木々の活着率を調査。根付きやすい樹種や育成条件などを調査結果からフィードバックし、今後の植林の活着率アップにつなげています。
環境クラブの活動いろいろ
- 環境教育ノートの制作
- 日本の子供たちと同じように、ラリベラの子供たちも新学期がくると新品のノートを揃えます。しかしこの地でノートはまだまだ貴重品。貧しい家の子は買ってもらうことができません。そこでFFFはオリジナルのノートを作り、植林に参加する子供たちに配布しています。その名も「環境教育ノート」。表紙の裏には森の大切さを伝える解説がアムハラ語と英語で載っています。子供たちは毎日このノートを開き、なぜ木や森が自分たちの生活に必要かを学びます。
- 環境コンテストの開催
- ラリベラの人々に、環境に対する意識をもっと高めてもらおうと、環境問題をテーマに絵や詩、作文などを募りコンテストを開催しています。2000年から始めたこのコンテストには毎年200名ほどの参加があり、上位入賞者にはFFFより、文房具やスポーツ用品などの賞品が贈られます。また参加者全員に「環境教育ノート」が配られます。
- 環境劇
- セミプロの役者や環境クラブの生徒たちで構成される劇団による環境劇は、年6回の公演。シナリオは学校の先生によるオリジナルで、森の大切さやゴミ問題を題材にとりあげ、学校や村の祭りで上演しています。村人たちにも大好評なこの環境劇。おかげで、FFFの活動に対する人びとの理解度も深まったようです。
- 自然観察会
- 各校の環境クラブの子供たちが、政府の苗畑や、他地域の学校の苗畑などを見学し、緑化の現場を実際に目で見て体験するというもの。2000年よりスタートしたこの試みは毎年子供たちの参加が増えています。
- アグロフォレストリー推進事業
- アグロフォレストリーは、多くの野生動植物に生息場所を提供し得る自然保護型の農業です。樹木を植えたその環境下で農作物を栽培したり、家畜を飼育することをいい、森林農業とも呼ばれています。私たちはナクテラ小学校の敷地に農園を作り、子供たちが自分の木として、育てていく「マイトゥリー1人1本運動」と併せてこのアグロフォレストリー事業をすすめています。